あえて言えば、日本の人でも違いはあまり見分けがつかない。その微妙な差を外国人にもそのまま「良い」と評価してもらうことに無理があった。
「本来なら日本人がこういう論陣を張って主導権も握るべきだった」と大矢さんは悔しがる。「長年ドイツに住んでいても言葉の壁は高く、日常生活や商売では問題なくとも、自然と入手出来る情報収集量が圧倒的にドイツ人と違い、時勢の変化に気づくタイミングを逃したわけですね」
彼が20年前に寿司をドイツで売り出した時、寿司の比率は握りが9割で残りが巻物だった。しかし今はアラカルト注文の8割が巻物だ。一方、売上は20年間で数十倍になった。生魚と寿司飯のコンビこそ「寿司の正統派」と主張しても、そこにメーンマーケットはないことを物語っている。