「西安で反日デモ」
2012年8月18日、土曜の夜。中国陝西(せんせい)省西安市内の大学の留学生寮でパソコンを開くと、インターネットのニュースが目に飛び込んできた。ついさっき、西安の中心部でのんきに火鍋を食べてきたばかりなのに…。当初は“緩さ”も感じられた反日活動だったが、日本が沖縄県・尖閣諸島を国有化して以降は激しさを増していき、中国の反日度も上がっていった。
パトカーで居眠り…緊張感ゼロ
当時、香港の活動家による尖閣諸島への上陸をきっかけに、微妙に緊張は高まりつつあった。地元の大学が、日本人留学生たちに「19日から反日活動が行われる恐れがある」と注意を呼び掛けてもいた。
だが、それまで1カ月近くの西安暮らしで、中国人の反日意識を感じたことはなかった。唐の都・長安だった西安には名所旧跡が多く、日本人観光客はいい「お客さん」だ。密教の奥義を学んだ弘法大師空海の記念碑もある。日中間で歴史分野の学術協力も盛んだ。それだけに、中国各都市のトップを切ってデモが行われたことが意外だった。