一方で、中国のテレビメディアは、国内のデモの様子は全く報道しない。反対に当時、中東各国で相次いでいた反米デモや米大使館などへの投石・放火の映像は、繰り返し何度も放映していた。「釣魚島ニュース」の後にそれを流すと、サブリミナル効果も満点のようだ。自国民に対して、過激な反日行動をあおっているとしか思えなかった。
あの反日暴動から半年以上がたった現在、中国社会は表向き平静を取り戻している。しかし、何かをきっかけに群集心理が暴走してしまう社会秩序のもろさ、国民の感情がいとも簡単にコントロールされてしまう危うさを、忘れることはできない。
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北京の大学に留学している関西の中年サラリーマンが、一留学生の視点から、ツッコミどころ満載の「素」の中国をリポートします。