「無法地帯」
尖閣国有化後初の週末となった9月15日、中国全土で過激化した反日デモや暴動が吹き荒れた。北京の日本大使館前で行われたデモの参加者は2万人を超えた。
自分の生活圏では大きな混乱はみられなかったが、日系のコンビニや飲食店は、店先に中国国旗を掲げて自衛を始めた。当時、中国国内にいるすべての日本人が息を潜めて暮らしていたと思う。まるで戦時の「敵性国家」の国民だった。
その日、西安に住む日本人留学生から連絡をもらった。暴動の一部始終を自宅アパートの窓から目撃したらしい。
8月のデモとは様相が違ったようだ。道路を勝手に占拠する100人以上のデモ隊、そして周囲の日本車を無差別に襲撃する暴徒たち。「無法地帯になったような危機感を覚えた」(留学生)が、1時間後に外に出てみると、市民が笑顔で壊れた車を記念撮影したり、警察官と談笑したりしていたという。「なんだか荒っぽいお祭りが終わった後のようでしたよ」。