すぐに知人の中国人に連絡すると、「偶然、通りに面した書店の窓からデモ隊の様子を目撃した」という。午前中、300~400人が公安関係者に付き添われながら市中心部に向かって行進したらしい。
翌日、朝からデモの様子を見に行った。出発場所とされる大通り付近には警察車両がざっと30台は配備され一見、厳戒態勢だ。
ところが、よく観察すると、若い警察官がパトカー車内で居眠りしたり、些細(ささい)なことから仲間同士でケンカを始める者までいたりして、緊張感はゼロ。こんな状態でデモの統制がとれるのだろうか。
昼時、ゾロゾロと近くの食堂に入っていく警察官たち。同行していた知人の中国人が、食卓を囲む彼らに大阪のおばちゃんのノリで聞いてくれた。
「今日はデモやんの?」
「多分、ない」。警察官がのんきに答えた。
尖閣国有化で雰囲気一変
西安の大学で外国人向け中国語授業を受講していた約1カ月の間に、学生食堂で経理を担当するK君と親しくなった。26歳独身、働き者だ。私の顔を見つけると、必ずおかずを大盛りにしてくれる。お礼に簡単な日本語を教えると喜んでくれた。