販売を牽引(けんいん)するのは、旺盛なシニア需要だ。総販売代理店のミキ・ツーリストの担当者は、日本ではなかなか根付かなかった長期クルーズの本格ブームの訪れを予感している。
≪ワイン≫
「このワイン。記念に1本いただけますか」
4月中旬。パレスホテル東京(東京都千代田区)の高級レストラン「クラウン」で、初老の男性が手に取ったのは、フランス・ボルドーの1961年産ヴィンテージ赤ワイン「シャトー・ムートン・ロートシルト」。52万5000円の超高級品だ。
「製造年が息子の誕生年だから」。いとおしそうにボトルを眺めた。
レストランの天井まである巨大セラー(貯蔵庫)には、4500~140万円のワイン約700本が並ぶ。
10万円を超える高級ワインは昨年ほとんど注文がなかったが、「今年に入って、月平均で2~3本」(佐藤隆正シェフソムリエ)のペースで売れ始めた。シャトー・ムートン・ロートシルトも入荷したばかりの2本がすぐに売れた。