先進国においても「ダントツで勝ち抜く」という文脈で盛んに語られるようになった。しかし、留学生たちが「ブランドがなければどうしようもない」という言葉を盛んに口にする姿をみるにつけ、ブランドへの希求の度合が先進国とは違うと感じる。
そこで、ぼく自身のブランドへの関心推移を思いだしてみた。
80年代の日本でブランドの洗礼を受けた。アルマーニやルイ・ヴィトンなど欧州ファッションメーカーがもてはやされた時代だ。企業は競って有名ブランドの独占輸入権の獲得やライセンス生産の権利の取得に走り回った。経済は絶好調で、各企業は「品質や機能がよくて当たり前」と付加価値という言葉をこぞって使い出した。
しかし、ぼく自身がトレンドの渦中にいたとの意識はあまりない。その頃、英国のスポーツカーメーカーと一緒に仕事をして、はじめてブランドを強烈に意識した。設立から30数年がたち創業者も10数年前に亡くなっていた同社が、80年代後半、エンブレムをオリジナルのデザインに戻した。
「我々は創業者のスピリットを思い返す必要がある。歴史を振り返ってこその新しい一歩だ」との自信溢れる社員の言葉を聞いた瞬間、ブランドの意味を身体で理解した気がした。デザイン的にどちらがスマートかということではなく、どちらが自分たちの思想を伝えているかが大事なのだ、と。