平和ボケから目を覚ませ
TPPだけではありません。沖縄基地移転問題も、尖閣騒動も、日中韓FTA交渉も、さらには日米安保、憲法改正問題、あらゆる分野に及んでいる中韓朝露によるスパイ問題やパテント抗争、南京歴史論争、領土問題、韓国の慰安婦問題、地下・海洋資源抗争…。いずれもが単一で独立したテーマではありえません。それら全てが相互に強い関連性を帯びているのです。
これらの問題が重要命題となってきたということをもっと肌感覚で捉え、対中、対米、対露、対南北朝鮮を含めたグローバル・対外戦略を、総合的関連性を重視しながら、われわれ個人個人が、複眼志向と冷静で賢明な視座を持つようにしなければなりません。そのためには、マスコミ報道やITメディアだけに情報依存する悪癖を捨て、雑誌や単行本を取捨選択しながら真実報道を求め、依拠・信頼でき得る論評にめぐりあう努力を継続する必要があると考えます。
諸国家の興亡期に、国際政治の関心の核と成るのは「地政学的磁力」である-と昔から言われてきました。そのマグマは、貿易ルート、戦略的資源の偏在具合、隣接・近隣諸国との陸海国境紛争などの現実下にとぐろを巻いています。それに対する地政学的戦略を、最適・最善に適合させることができる国は栄え、失敗した国は衰退してゆく。それが歴史の常なのです。
平和ボケ日本は、今こそ目を覚ますべきです。そして、すでに熱を帯びつつある米中覇権抗争の行方を冷静に見極め、両者の地政学的長短を見据えた上で、最適なるわが道を早急に選択すべきだと思量致します。
上田和男(こうだ・かずお) 昭和14(1939)年、兵庫県淡路島生まれ。37年、慶応大経済学部卒業後、住友金属工業(鋼管部門)に入社。米シラキュース経営大学院(MBA)に留学後、45年に大手電子部品メーカー、TDKに転職。米国支社総支配人としてカセット世界一達成に貢献し、57年、同社の米ウォールストリート上場を支援した。その後、ジョンソン常務などを経て、平成8年(1996)カナダへ亘り、住宅製造販売会社の社長を勤め、25年7月に引退、帰国。現在、コンサルティング会社、EKKの特別顧問。