米国は「貿易・投資の自由化」という大義を掲げるが、参加国内には「世界的な製薬企業や映画産業を抱える自国の利益しか考えていない」(通商筋)との不信感が強い。
会合前には、米国が目標の年内妥結を優先して、日本政府内にも「最後は譲歩する」との見方もあった。だが、日米協議では西村副大臣が「米国に柔軟性を示してほしい」と繰り返し訴えたが、米国の姿勢に大きな変化はなかった。
今会合では、次回会合を設定するだけにとどまり、明確な妥結時期の目標は見送られた。
ただ、159カ国・地域の世界貿易機関(WTO)が機能不全に陥る中、通商戦略の新たな潮流となりつつある「巨大自由貿易協定(メガFTA)」の先駆けとしてTPPの役割は大きい。
日本にとって、米国の勢力拡大を警戒する中国が積極的な日中韓FTAや、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の交渉を進める上で、「TPPが牽引(けんいん)役になる」(経済産業省幹部)と重要性は変わらない。米国と新興国の対立に解決の糸口が見いだせない中、「橋渡し役」を自任してきた日本がどこまで交渉を主導できるかが鍵となる。(シンガポール 会田聡)