しかも、中国は「抗日戦勝記念日(9月3日)」といわゆる南京事件の「国家哀悼日(12月13日)」を今年からそれぞれ国家記念日に制定することを決めた。「抗日戦争に関する記念日と強制連行など対日訴訟の動きは来年の日本敗戦70周年に向けて連動していく」(中国側関係筋)とされ、中国の大衆に反日感情が改めて色濃く植え付けられることは避けられない。
2012年の反日デモではパナソニックやイオン、トヨタ自動車などの中国の拠点が相次いで焼き打ちに遭い、暴徒が破壊の限りを尽くした。何の落ち度もない日本人の一般駐在員らが中国人に囲まれて暴行を受けたのも一人や二人ではない。その後、日本企業の対中進出にブレーキがかかった結果、今年1~3月の日本から中国への直接投資額は、前年同期に比べ47.2%の大幅減となっている。
それでも金融を含むサービス業や小売業などの対中進出意欲は高かったが、「戦前、戦中にかかわらず一般の商業案件でも日本企業が裁判で狙い撃ちされるリスクがある」(上海の経営コンサルタント)とみなされれば、日本企業は対中ビジネスから得られる利益よりも、リスクの方が大きくなるだろう。資産差し押さえのみならず、責任者の身柄拘束など従業員の人的被害に波及する恐れがある。