グラフは、「中長期の経済財政に関する試算」(7月25日付)で内閣府が予測した名目国内総生産(GDP)の伸び率に弾性値3を掛け合わせた場合の一般会計税収動向を示している。同試算では26年度以降の名目経済成長率をおおむね3%以上とする「経済再生ケース」と2%弱とする「参考ケース」に分けており、それぞれについて弾性値3を適用してみた。すると、再生ケースでは一般会計の基礎的財政収支を黒字にできるのは30年度であり、政府目標年次より2年早くなる。低成長が続く「参考ケース」でも、着実に税収は増え35年度には黒字化する。実際の経済成長は曲折があるのが普通だが、経済の成長こそが財政再建の王道だという事実がはっきり見える。
対照的に、内閣府の税収予測は、消費税率10%を前提とし、増税による経済への影響がなくなると予想される29年度以降の弾性値をほぼ1としている。つまり経済成長率相当分しか税収は増えないというのである。基礎的財政収支は赤字が続き、消費税率を10%からさらに引き上げるべきだという増税シナリオを仕込んだ。