許可証を受け取り報道陣の質問に答える、九州電力の中村明上席執行役員(中央)=10日、東京・六本木の原子力規制庁(寺河内美奈撮影)【拡大】
原子力規制委員会が10日、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の事実上の合格証となる「審査書案」を確定した。電力各社は今後の安全審査の迅速化に期待を寄せるが、川内2基を含めた原発の年内の再稼働は地元同意などに時間がかかり、困難な情勢。各社とも、燃料コストのかかる火力発電に頼らざるを得ない状況が続き、電気料金の再値上げを目指す動きが加速しそうだ。
川内2基に続く「2番手」としては、川内と同じ加圧水型軽水炉(PWR)で、基準地震動(想定する最大の揺れ)が確定した関西電力高浜3、4号機(福井県)、九電玄海3、4号機(佐賀県)が有力視されているが、追加工事の必要があり、再稼働の見通しは立っていない。審査が後回しになっている東京電力柏崎刈羽6、7号機(新潟県)など沸騰水型軽水炉(BWR)の原発の再稼働はさらに見通せない。
関電は原発停止による火力燃料費の増大から、平成26年4~6月期連結決算で、290億円の最終赤字を計上。年間を通じても赤字となる可能性が高まっており、今秋にも料金の再値上げを政府に申請する。
東電は、新総合特別事業計画(再建計画)で25~34年度の10年間に4兆8千億円のコスト削減を行う計画を掲げたが、さらに深掘りできないかを点検するため、今月4日に「生産性倍増委員会」を設置。年内にコスト削減策をまとめ、再値上げするかを判断する。
数土文夫会長はコスト削減額の上積みについて「100億円程度はめどがついている」と明かしたが、26年度の火力発電コストは再建計画の想定より3千億円増加する見通しだ。
原発が再稼働できなければ、経営の抜本改善は不可能だ。コスト削減を徹底しても“焼け石に水”となる可能性が高い。