衆院解散、消費税の再増税延期などについて記者会見する安倍首相=18日午後、首相官邸【拡大】
安倍首相の衆院解散表明を受けて、自民党は挙党態勢の構築を急ピッチで進めることが迫られる。来年10月に予定した消費税率10%への再引き上げは、1年半の先送りでひとまず決着がついたが、増税派と先送り派の間で、しこりがくすぶっている。結党50年を迎えた公明党といかに連携を密にするかも課題といえる。
増税派は殊勝な発言
「大変力強い提言をいただいた」。首相は18日、消費税再増税の1年半延期を柱にした提言を首相官邸に持参した自民党の山本幸三衆院議員ら「アベノミクスを成功させる会」のメンバーに、そうねぎらいの言葉をかけた。
首相は、山本氏の説明に耳を傾けながら提言の中にあった「経済対策の実施」の部分に線を引いた。そして、「デフレ脱却、経済再生と財政再建の二(に)兎(と)を追って解決する必要がある。このような提言を出してもらい、大変うれしい」と語りかけ、財務省出身の首相秘書官の方を見て「財務省はどう言うか知らないけどね」とちゃかしてみせた。
首相は、よほど機嫌を良くしたのか、自ら議員一人一人と記念撮影に応じるサービスぶりだった。
「成功させる会」のこれまでの動きを苦々しく思ってきたのが増税派の牙城、党税制調査会のメンバーたちだ。
ただ、党本部で18日に開いた党税調総会では、首相の盟友、麻生太郎副総理兼財務相が出席する中、野田毅税調会長は「平成27年度の税制でもデフレ脱却、日本経済再生を念頭に置いて対応しなければならない」と殊勝な発言に終始した。町村信孝顧問に至っては総会後、記者団に「最終的な判断を首相に任せるのは、われわれは早々と合意している」と言ってのけた。