記者会見で質問に答える日銀の黒田総裁=19日午後、日銀本店【拡大】
■2%の旗降ろせぬ
ただ、輸入品目の中で大きなウエートを占める原油価格は3~4年ぶりの低い水準にあり、円安が進んでも物価は上昇しにくくなっている。
7~9月期の国内総生産(GDP)も2四半期連続のマイナス成長となり、大半のエコノミストは「2%到達は極めて厳しい」とみている。日銀内からも「2%の物価目標は非現実的だ。1%程度に引き下げるべきだ」との声が上がる。
こうした中で、みずほ証券の上野泰也氏は「米国が2%の物価目標を掲げる中、日本が1%に下方修正すると、『円高ドル安を容認した』と受け取られかねない」と指摘する。
物価高は通貨の価値が下がる現象なので、物価高の国は通貨安に、物価安の国は通貨高にそれぞれなりやすい。日銀は為替水準について「円安は日本経済にプラス」としてきただけに、2%の旗は容易に降ろせないのが実情だ。
今後、物価が伸び悩めば新たな追加緩和を求める声も高まる。財政ファイナンスとの批判をうまくかわす秘策が見あたらない中、日銀の金融政策のかじ取りは一段と困難になりそうだ。(藤原章裕)