日本政府内では「カナダが消極姿勢を続ければ、交渉からの『カナダ外し』を求める声が上がる可能性がある」との見方も浮上している。ただ、その場合、米国と対立するマレーシアなど新興国がカナダに続く交渉からの脱退に傾き、交渉が瓦解(がかい)する恐れも否めない。
交渉の旗振り役である米国は来年夏以降、次期大統領選に向けた動きが本格化し、オバマ政権のレームダック(死に体)化が加速する。このため、交渉は来年5月が合意にこぎ着けられる期限との見方も強い。限られた時間で、交渉を主導する日米は慎重な対応を迫られそうだ。