金融政策決定会合を終えて記者会見する黒田東彦総裁=21日午後、東京都中央区(蔵賢斗撮影)【拡大】
日銀が21日に平成27年度の消費者物価指数上昇率の見通しを前年度比1.0%に大幅下方修正したことで、「2年で2%」の物価目標はほぼ不可能となった。それにもかかわらず、黒田東彦総裁は追加の金融緩和を見送った。日銀は今後、追加緩和に踏み切るのか、それとも目標の修正に動くのか-。「日銀ウオッチャー」と呼ばれる金融政策担当エコノミストの見解もさまざまだ。
(藤原章裕)
賃上げ頼み?
「賃上げ交渉の動きをみても、企業や家計がデフレマインドに戻る懸念は払拭されている」
黒田総裁はこの日の会見でこう強調し、「27年度を中心とする期間」の物価目標達成は変更しなかった。
今春闘で給与水準を一律に底上げするベースアップ(ベア)が昨年実績(産業界全体で0.4%)を上回る期待が高まっているのは追い風だ。
昨年10月末の追加緩和のきっかけとなった原油安についても、「目先は物価を押し下げるが、中長期的には経済活動の改善を通じて物価を押し上げる」と軌道修正した。
今後の金融政策は
日銀によると、「1.0%の物価見通しはあくまで27年度の平均値」。それでも、同年度中に2%に引き上げるのは至難の業だ。