金融政策決定会合を終えて記者会見する黒田東彦総裁=21日午後、東京都中央区(蔵賢斗撮影)【拡大】
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「春闘で賃上げが進んでも原油安を補うまでにはいかない」と分析し、10月に追加緩和すると予想する。
これに対し、「もう緩和マネーは十分。2年で2%の物価目標を断念する」とみるエコノミストも。
長期金利が連日最低を更新し、国債を大量に購入する金融緩和の副作用懸念も高まっている。
20日には、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが初の0.1%台を記録。5年債も初のマイナスをつけた。これを受け、財務省は21日、個人向け5年物国債の1月分募集を初めて中止すると発表した。
日銀は、成長分野などへの融資を増やした金融機関に年0.1%の低利資金を供給する「貸出支援基金制度」の拡充・延長を決めたが、同制度の支援期間は4年。既に5年物国債の利回りがマイナスとなる中、効果には疑問符がつく。
目標修正か
「金融緩和は限界にきている」
東短リサーチの加藤出チーフエコノミストはこう指摘する。
農林中金総合研究所の南武志主席研究員も、目標の達成は困難とみて、「2年の期限を曖昧な表現にして先送りする」と見込む。
実際、黒田総裁は会見で、2%到達が28年度にずれ込む可能性を初めて示唆するなど、発言ぶりにやや弱気が目立った。
ただ1月中旬、スイス国立銀行(中央銀行)が損失リスクを恐れて急に為替介入を終了したことで金融市場が大混乱に陥ったように、“弱気”の政策変更は市場心理を一気に冷やしてしまう恐れもある。
目標達成へ、黒田総裁の「決断のとき」は刻一刻と迫っている。