【ワシントン=小雲規生】オバマ米大統領は2日に議会に提出する2016会計年度(15年10月~16年9月)の予算教書に、自由貿易協定で不利益を被る労働者への「貿易調整支援」策を盛り込む。米紙ニューヨーク・タイムズなどが1日、報じた。TPP合意に向け、労働者支援を打ち出すことでTPPに否定的な民主党議員らを説得する布石を打つかたちだ。
貿易調整支援の額は1億500万ドル(約123億円)。オバマ政権は議会に対して通商交渉で政府に権限を一任する大統領貿易促進権限(TPA)法の成立を求めている。
しかし民主党内からは「自由貿易協定は雇用の海外流出につながる」などとして反対論が強い。同紙は「貿易調整支援は民主党に対する友好の印だ」としている。
上院財政委員会のハッチ委員長(共和党)は当初、1月中のTPA法案の提出を目指す考えを表明していたが、民主党内の反対の強さや法案審議の日程を考慮して、法案提出は2月以降にずれ込んだ。ハッチ氏はTPA法成立のため、貿易調整支援について民主党との協議に応じるもようだ。
TPA法が成立すれば、政府が自由貿易協定の合意内容を議会にはかる際、議会はその内容に修正を加えることができず、合意への賛否を示すしかできない。一方、TPA法は政府に対して交渉内容を議会に明確に開示し、議会との間の「ホットライン」(共和党のライアン下院歳入委員長)を作ることも求める見通しで、共和党内では支持が強い。