全長800メートルの巨大プールの設置が計画されていた大阪・ミナミの道頓堀川。観光船事業者との調整がつかず、計画は中止に追い込まれた【拡大】
大阪・ミナミのど真ん中を流れる道頓堀川に全長800メートルの巨大プールを設置する-。そんな奇想天外な計画が中止に追い込まれた。橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会のブレーンで、内閣官房参与の堺屋太一氏が「大阪の観光名物に」と発案。大阪ならではの奇抜なアイデアの実現に向け、地元商店会関係者らが3年にわたって準備を進めてきたが“地元事情”に阻まれ、計画中止の憂き目に。「世界驚愕(きょうがく)規模」と銘打たれ、橋下氏も実現に意欲を示した計画。世界を驚かすことのないまま頓挫した背景には一体何があったのか。(西岡瑞穂)
「世界遠泳大会を開催」
計画が初めて披露されたのは平成24年1月。大阪府・市の行政課題を話し合う府市統合本部会議で、内閣官房参与で府市特別顧問も務める堺屋氏が大阪を盛り上げるための「10大名物」を提案した。ひときわ目を引いたのが、「道頓堀川に巨大プールを設置し、27年に世界遠泳大会を開催する」というものだった。
道頓堀川の開削400周年に当たる27年に大きなイベントの開催を検討していた地元商店会関係者らがこのアイデアを取り入れ、24年6月にプロジェクトの準備室を設置。地元商店会関係者に加え、吉本興業やミキハウスをはじめとする有名企業などが計2300万円を出資し、25年4月に準備会社が発足した。