全長800メートルの巨大プールの設置が計画されていた大阪・ミナミの道頓堀川。観光船事業者との調整がつかず、計画は中止に追い込まれた【拡大】
道頓堀プールは、テント生地で作った川幅いっぱいの箱形プールを川に係留する方式を想定。試作品でのテストに加え、水質の専門家を招いて濾過(ろか)の仕組みを整えるなど、技術的な最初の3条件((1)(2)(3))はクリアしていた。
しかし、4つ目の「関係者の了解を得る」という“地元事情”が計画そのものを頓挫させる要因となる。
プールを設置している期間は川面を「占拠」し、道頓堀川を定期的に運航する観光船が往来できなくなるため、事業者側との調整がつかなかったのだ。
複数の関係者によると、準備会社と観光船事業者らとの間では、プールと観光船の両方を使ったイベントを実施するなど「共存案」も検討された。しかし結局、事業者側に十分な営業補償がされないなどの理由で物別れに終わった。
最終的には、準備会社の担当者が昨年末に市河川課を訪れ、「調整がつかなかった」と伝達。市は許可条件が満たされなかったとして、今年1月6日付で、河川の占用許可申請を不許可とした。
観光船事業者の一人は「ミナミの活性化のために共存を模索してきたが、準備会社から納得できるプランが提示されなかった。社業を犠牲にはできない」と明かした。