一方で、13年には米ラスベガスのショーの最中に、空中でアクロバットな演技をしていた団員が安全具が外れて落下し、事故死した。シルクの長い歴史で死亡事故が起きたのは初めてで、劇団としての安全管理の態勢が問題視される事態になった。
さらに、シルクが切り開いた、曲芸と芸術を高いレベルで融合する「新サーカス」の分野で近年、ライバルの劇団が次々登場し、シルクの牙城を脅かし始めていることも見逃せない。その中にはシルクで学んだ出身者も少なくなく、ラリベルテ氏自身も「われわれの『希少性』は失われた」と焦りを隠さないほどだ。
競争が激化する中、右肩上がりだった収益も低空飛行となり、コスト削減もほぼ限界となる中で、ラリベルテ氏は14年12月、保有株の2~3割を処分し、売却益を経営改善にあてる考えを表明していた。
ファンもやきもき
だが、ラリベルテ氏の見立ては甘かったようだ。シルクは結局、複数の投資会社などに身売りすることで合意したと発表した。