つまりは今から5年前、その頃、彼女は毎週のように日本食レストランに通った。寿司だけでなく天麩羅やその他の食べ物も色々と試みた。どれも気に入ったと話していた。家内に鶏の照り焼きのソースの作り方も聞いていた。
母親同士の集まりがあると、必ずといってよいほど、ぼくの家内に「寿司を作ってくれない?」とリクエストがきた。
家内は少々ウンザリとしながらも、なるべく要望に応えてあげた。持ちよりパーティーで最初になくなるのは、いつも寿司だった。軽く食べられるメリットは大きかった。
最近、家内がシルビアに久しぶりに会った時、また仲間で集まろうという話になった。そこで先制攻撃として、家内が「寿司は勘弁!」と言ったら、シルビアが「そう、寿司はもう要らない」と答えた。
この変化に家内もハッとした。詳しく聞くと、こういうことらしい。
「私が好きなのは、寿司めしの上にサーモンのタルタルがのっていて、更にその上にクリーム状フィラデルフィアチーズがあるもの。もちろん海苔は要らないわ。これ以外の寿司はもう積極的に食べたいと思わないのね」
寿司敗れたり!と思わず口走りたくなるような、寿司体験10年の結論である。
昨年ごろからだろうか。ぼくのイタリア人の友人から時々聞くようになったセリフがある。
「正直言うと、寿司は飽きはじめたよ。最近、あまり日本食レストランに足を運ばなくなってきた」