「寿司以降」というテーマが数年前から話題になっており、その一つにラーメンやうどんなどの麺類にスポットがあがってきている。ぼくはこのような周囲の声でその傾向を実感してきた。
シルビアのエピソードを聞いて、「結局、終点はそこか」と感じずにはいられなかった。当然ながら、日常のリズムでよい具合に寿司を食べる人たちもまだ多くいる。だからシルビアのような例がどの程度の割合なのかはぼくも知りたい。
そもそも日本の人でさえ寿司をそんなに頻繁に食べるだろうか。
日本とイタリアではブームといっても、上昇までのカーブが緩やかで下降線もゆったりとしている。しかし、通常の習慣をかなり変容させるのがブームである以上、いつかブームは終わる。課題はその時に何が残るか、だ。
日本人のビジネスパーソンからすれば、ブームの主導権を握れなかったことから被害者意識もあるかもしれない。だからといって、カッコつきの正統派寿司ばかりをアピールするのが、日本のビジネスパーソンのやるべき唯一のこととも思えない。
寿司ブームの推移とその行方をしっかりと考えるべきタイミングであろう。
ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih