日中財務対話のフォトセッションを終え、握手を交わす中国の楼継偉財政相(中央左)と麻生財務相=6日、北京の釣魚台迎賓館(共同)【拡大】
3年2カ月ぶりに再開した日中財務対話は、経済・金融分野での協力を確認するなど、両国の歩み寄りという点では一定の成果が得られた。ただ、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への日本の参加など、国益の対立したテーマでは認識の隔たりも浮き彫りにした。
「向こうも(日本の主張を)理解している」。麻生太郎財務相は財務対話後にこう述べ、日中両国の相互理解が進んだと強調した。実際、5日の張高麗筆頭副首相との会談以降、日中の関係改善を内外にアピールする場面が相次いだ。
アジアのインフラ需要に対する日本の構想を中国に直接説明するのも今回が初めてだったが、中国側から表だった批判はなかったもようで、麻生財務相も「戦略的互恵関係につながる」と手応えを口にした。
だが、日本のAIIBの参加をめぐっては、両国の“つばぜり合い”を思わせる場面もみられた。
「ドアはオープンですよ」。6日の局長級会合の際、中国側は暗に日本に参加を呼びかけた。
中国にとって日本の参加は、AIIBの国際的信認を高める上では不可欠の要素だが、日本が中国側に求めた組織運営や融資審査の透明性の確保については、いまだ疑念が払拭できていない。日本側は「緊密に意見交換してますよね」(同行筋)という念押しで、中国の呼びかけをかわした。
今後、経済・金融分野での主導権争いはAIIBに限らない可能性もある。協調姿勢を築きながらどう国益を確保していくか、連携のあり方が課題になる。(北京 万福博之)