税制調査会総会であいさつする自民党の宮沢洋一税調会長(奥側右から4人目)=20日午後、東京・永田町の自民党本部(斎藤良雄撮影)【拡大】
自民党税制調査会が来年度の改正で検討する項目には減税色の強いテーマが並んだ。本来、来年度改正で焦点となるはずだったビール類の酒税一本化や、配偶者控除の見直しなど家計の負担増につながる施策は軒並み凍結された。来年夏の参院選を控え、与党が増税色の強い見直しに二の足を踏んだうえ、消費税増税時に導入する軽減税率の与党協議が難航する“しわ寄せ”も影響した。
来年度改正で、増税策の目玉となる予定だった酒税の段階的な見直しは、自民党税調の議論ですでに先送りの方針を決めた。
自民党税調は、350ミリリットル缶当たりの酒税はビールが77円、発泡酒47円、第3のビールで28円という税額差を、数年かけて全体の税収が変わらない55円程度に一本化する案を検討してきた。だが、ビールは減税になる半面、発泡酒と第3のビールは増税となり、「庶民のささやかな楽しみを奪う」との批判が強まったことから、参院選を控え改正は時期尚早だと判断した。
同様に配偶者控除の見直しも、来年度は改正を見送る。配偶者控除は妻の年収が103万円以下の場合、夫の所得税が軽減される仕組みだが、その恩恵を受けようと意図的に働く時間を調整する主婦も多い。
自民党税調は、妻の収入にかかわらず、一定額を夫の収入から差し引く「夫婦控除」を導入する方向で検討してきた。ただ夫婦控除の場合、専業主婦世帯では増税になるケースもあり、実施は難しいと判断した。
来年度改正に先立ち、議論が進められた軽減税率は、対象品目の選定をはじめとする制度の詳細をめぐり、与党内の調整に時間がかかっている。そのしわ寄せが他の税制改正項目に及び、全体として小粒で踏み込み不足となった感は否めない。(今井裕治)