TPP対策を議論する自民党の総務会=20日午前、東京・永田町の党本部【拡大】
自民党は20日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する総合的な対策を正式決定し、政府に提言した。関税引き下げに対する農家の不安を払拭するため、コメや牛・豚肉などの保護策を充実。貿易自由化の恩恵を生かし、工業製品や農産物などの輸出を進める支援策も盛り込んだ。
同日午後、稲田朋美政調会長ら党幹部が菅義偉官房長官に提言を渡した。菅氏は「与党と相談して進めていきたい」と述べた。政府は25日にも党の提言を反映した対策大綱をまとめ、年末に編成する2015年度補正予算案や16年度予算案に一部を計上する方針だ。
自民党の対策では、農業の影響緩和策として政府備蓄米の買い入れ量を増やし輸入増に伴う米価下落を防ぐほか、牛・豚肉は経営安定対策を強化する方針を盛り込んだ。また、経営感覚に優れた農家に対する金融支援の拡充や、農地の大区画化を推進するなど国内農業の体質強化に取り組む。
農林水産業以外では、中小企業の海外展開を官民が連携して後押しするほか、円借款の迅速化などでインフラ輸出を拡大する。また、国内企業のイノベーション(技術革新)を進め、国際競争力の強化を図る。