5月29日、日EU首脳会談を前にEUのトゥスク大統領(左)、ユンケル欧州委員長(右)と握手する安倍晋三首相=首相官邸【拡大】
日欧交渉にはTPPと共通するものが多い。TPPで関税削減などが決まった豚肉もそうだ。日本の輸入豚肉は米国、カナダに次いでデンマーク産が多く、同国には、TPP合意で不利な競争が強いられるとの懸念がある。これは交渉加速の誘因となろう。
逆にTPPで日米が合意した日本車の関税撤廃は、日欧の対立を深める火種となりかねない。それはなぜか。
米国は25年もの長い期間をかけて2・5%の関税をなくす。重要農産品の関税を死守するため日本が受け入れた米業界への配慮だった。
これに対しEUの関税は10%だ。欧州の業界では「2・5%で25年を認めるなら、10%の撤廃はもっと長くていいはずだ」との見方まで出ているそうだ。自動車産業を抱えるフランスやイタリアが強硬姿勢を強める可能性も想定しておく必要があるだろう。