原田久・立教大教授【拡大】
平成28年度予算案は、訪日外国人客の増加に対応して観光関連予算が大きく増える一方で、概算要求時に6700億円まで増額要求を認めた社会保障費の伸びは4千億円台に抑えられるなど、個々の官庁の意向ではなく政治の意向が強く反映された内容だ。税収はアベノミクスの成果で伸びているが、依然として34兆円もの国債発行に頼っているのが現実だ。
28年度予算案だけで見れば財政規律に対し、一定の配慮はしたと評価できるかもしれない。だが、28年度予算案は、27年度補正予算案と28年度政府税制大綱で決まった消費税率10%時の軽減税率導入と一体的に見ることもできる。そうすると、中長期的な財政健全化目標である、国と地方の基礎的財政収支(PB)の黒字化に向け課題が残る。
軽減税率導入に伴って発生する1兆円の財源について具体的な手当をしないまま導入を決めたのは、財政健全化の第一歩であるPB黒字化が本当にできるのかと疑われても仕方がない。国内総生産(GDP)も、政府の思惑ほど伸びない中、今の税体系では予算総額をまかなえないことについて今後議論が必要だ(談)