記者会見する日銀の(左から)秋山修福岡支店長、梅森徹名古屋支店長、杉本芳浩札幌支店長=7日午後、日銀本店【拡大】
日銀は7日、4月の地域経済報告(さくらリポート)を発表し、全国9地域のうち8地域の景気判断を据え置き、東北のみ引き下げた。ただ、4地域で生産など個別の判断項目を下方修正しており、海外経済の減速や円高・株安が企業の設備投資計画に影を落とし始めている実態も浮かび上がった。
判断を引き下げる地域があるのは、近畿を下げた1月の前回報告に続き、2四半期連続。東北は新興国経済の減速の影響で電子機器などの生産が落ち込んだことを主因に「生産面で弱含んだ状態が続いている」と1年半ぶりに下方修正した。九州・沖縄と四国も新興国経済の減速などを受け生産の項目を引き下げた。
関東甲信越では、東京を中心としたマンション価格の高騰などによる貸家の着工減少を理由に、住宅投資の項目を「持ち直しが一服している」と下方修正した。
日銀は国内景気について「基調としては緩やかな回復を続けている」との見方を崩していない。今回のさくらリポートでも、東北を含めた全9地域の景気判断に「回復」「拡大」を盛り込んだ。ただ、新興国経済の減速が一層進めば、地域経済の回復ペースも鈍化しかねない。設備投資意欲にマイナスの影響が出る可能性が高いためだ。