
質問に答える日銀の黒田東彦総裁=東京都中央区【拡大】
ヘリマネとは違う
--総括的な検証が、金融政策の予見可能性を改善・強化する意味合いは
「かつては『予見可能性』とか『市場との対話』はあまり重視しないという考え方が各国の中銀で強かったが、この数年はむしろ市場との対話や予見可能性を重視する考え方がかなり出てきた。ただ、年8回の会合の議論とか、そこで決まる金融政策の内容を、議論を飛ばして、事前に決めてアナウンスする意味合いの予見可能性はどこの中銀にもない。総括的な検証は、金融政策のあり方をよりよく示すという意味では有益ではないか」
--麻生太郎財務相が40年物国債の増額方針を示した。ポリシーミックス(政策の組み合わせ)の観点から、超長期債の購入を増やす考えは
「政府の財政・構造政策を踏まえて金融政策を独自に決めるが、財政政策と金融政策が一体的に決まる『ヘリコプターマネー』のような考えは取っていない。これは欧米の中銀も同じ。金融が緩和されていれば、政府が国債を発行して歳出を増やしても、(市場金利が急騰して民間の資金需要が抑制される)『クラウディングアウト』は生じず、財政政策の効果はより大きくなる」
--ヘリマネと本質的に何が異なるのか
「金融政策と財政政策が相乗効果を伴うことで、より大きな効果を持つという意味でのポリシーミックスは日銀も政府も考えているが、ポリシーミックスと、ヘリマネは区別して考えないといけない。金融政策と財政政策を一体化するヘリマネは現行の法制度の下では不可能ということに尽きる」