
質問に答える日銀の黒田東彦総裁=東京都中央区【拡大】
--金融庁は、3メガバンクの今年度決算について「マイナス金利で3000億円程度の減収要因になる」と試算し、日銀に懸念を伝えたようだ
「マイナス金利付き量的・質的金融緩和で、イールドカーブ(国債の利回り曲線)全体が低下し、貸出金利は下がっている。ただ、過去3年をみると、金融機関は利ざやの縮小にもかかわらず、非常に高い収益をあげている。倒産件数が減って信用コストが減り、国債を売ればキャピタルゲイン(売買益)も得られる。昨年度、地方銀行全体では史上最高の収益をあげている。ただ、これからの状況を考えると、収益に対してどのような影響が出るか注視する必要がある」
--日銀も懸念しているのか
「金融機関の収益が極端に悪化するとは思っていない。また、日本の金融機関は、欧米の金融機関と違って、リーマン・ショック後の金融危機の影響が相対的に小さく、十分な資本を持っている。今年度は利ざや縮小の影響を受けるかもしれないが、金融仲介機能を阻害することにはならない」