日銀総裁インタビュー一問一答 「物価目標は変えない」「マイナス金利は効果発揮」 (4/5ページ)

質問に答える日銀の黒田東彦総裁=東京都中央区
質問に答える日銀の黒田東彦総裁=東京都中央区【拡大】

 --消費税増税の再延期が決まった。財政健全化の必要性についてどう考えるか

 「政府と日銀の共同声明でも明記しているが、日銀は2%目標をできるだけ早期に実現する。政府は景気を下支えするのと同時に、中長期的に財政の持続可能性を確保するため、20年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する目標を立てている。財政健全化は金融政策のみならず、日本経済への信頼性を確保する上でも非常に重要だ」

 賃金の上昇率鈍い

 --企業の収益改善ペースに比べれば、賃上げ幅はやや期待外れだが

 「3年連続でベースアップ(ベア)が実現し、中小企業にも波及してきた。しかし、これだけ雇用情勢が改善し、企業収益も歴史的に極めて高い水準の割には、賃金の上昇率は少し鈍い感じを持っている。日本の春闘は、前年の物価上昇率をベースに決まることがある。原油価格が大きく下がって物価がほぼ横ばいの状況が1年以上続くと、賃金の上昇率が下がってしまう傾向はあるのかもしれない」

 --企業や家計のインフレ予想(物価観)も伸び悩む

 「長期間のデフレが続き、インフレ予想が低く推移したため、実際の物価や賃金に影響した。原油価格が回復すれば、物価上昇率はいずれマイナスからプラスに転じ、徐々に上がっていくと思う。物価が上がらなければ賃金も上がらないし、賃金が上がらなければ物価も上がらない」

「ただ、過去3年をみると、金融機関は利ざやの縮小にもかかわらず…」