日銀が外債購入に踏み切るとの観測が出るのは、現行の金融緩和策に限界論が出ているためだ。市場に流すお金の量を増やす新たな一手として外債購入を加えれば、円安誘導につながる為替介入目的ではないとの大義名分がつけられるとの見方もある。
きっかけは安倍晋三首相が5日、中国での主要20カ国・地域(G20)首脳会議後の記者会見で、外債購入論について「為替介入を目的とする場合、日銀法上、認められていない」と強調したことにある。
この発言を市場は逆に、「金融緩和が目的ならば外債購入は可能」と受け止めた。安倍首相のブレーンで内閣官房参与の浜田宏一米エール大名誉教授が一部通信社の取材に「日銀が外債を買うことも選択肢」との発言も大きい。
ただ、外債購入は金融緩和が目的との主張は、「海外には通用しない」(ニッセイ基礎研究所の櫨浩一専務理事)。5日に採択されたG20首脳宣言で「通貨の切り下げ競争の回避」が明記されたばかりで、“禁じ手”として批判を浴びる可能性が高い。