国際社会は保護主義の台頭が第二次大戦につながった苦い歴史を背負う。1930年代、各国は世界大恐慌を自国産業の保護で乗り越えようとし、米国では政府の調達物資を米国製に限定する「バイ・アメリカン法」が成立した。就任演説で「米国製品を買おう」と呼び掛けたトランプ氏が、戦前の悪法を念頭に置いていた可能性は否定できない。
TPP離脱とNAFTA再交渉も外国製品の輸入増を食い止めるのが狙い。ただ、TPPの漂流よりも、関税がかからないNAFTAの再交渉の方が日本経済への影響は大きそうだ。NAFTAは米国がメキシコ、カナダと結ぶ協定で、日本の自動車メーカーにとって人件費の安いメキシコは北米向け輸出の生産拠点になっているためだ。
トランプ政権は「カナダとメキシコが公正な取引に応じない場合、協定から離脱する」と言明した。日系自動車メーカーの幹部は「関税が復活すれば、生産体制を見直す可能性がある」と話す。自動車の部品は米国から調達する例も多く、米シンクタンクは「離脱の場合、米国で少なくとも3万1000人の雇用が失われる恐れがある」と試算する。