
ゴルフ場に到着したトランプ大統領と安倍晋三首相とみられる2人=11日午前、フロリダ州ジュピター(松本健吾撮影)【拡大】
そのころにはもう、「撮れるかもと、思わせぶりにして、カメラマンの居場所を管理するのが目的だったんだ」との被害妄想ともつかない考えに頭が支配されていた。脳天気に構えていた自分に腹が立ち、また敗北感に打ちのめされた。フロリダまで来て、手ぶらで帰ることはみじめだからだ。
別のゴルフ場で2人が昼食を取るのを待つ2箇所目の“軟禁先”になるともはや飲み物すら用意されてなかった。トイレに行くにも一団で連れていかれ、男性用便器が一つしかないため、前の人の小便が便器を打つ音を何度も聞かなくてはいけなかった。
加えて、汗だくでクタクタなはずの2人がそのゴルフ場でさらにハーフコースを回ったことを知り、言葉を失った。
無力感に苛まれるなか、外務省の報道担当者から「ゴルフはこれで終わりです」との報告を受け、全てが徒労に終わったことが決定づけられると、どっとした疲れに襲われた。またとない機会を任され、期待の言葉で送り出してくれた同僚たちにも申し訳ない気持ち溢れ、いたたまれない気持ちになった。
北朝鮮がミサイル発射
「この仕事、撮れたり、撮れなかったり。勝ったり、負けたりだ」。プレスルームで落ち込む私を察したのか、共に取材していた他社の先輩カメラマンが声をかけてくれた。そうこうするうちに「北朝鮮がミサイル発射」との一報が流れた。それを受け、急遽、安倍首相とトランプ大統領が揃って記者発表することになった。
いつまでも肩を落としてはいられない。カメラを掴んでホテルを飛び出した。(写真報道局 松本健吾)