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シャープ・鴻海の交渉が暗礁に 薄まる存在感、相次ぐ暴動でイメージ悪化
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シャープと台湾・鴻海精密工業の出資交渉が暗礁に乗り上げている。1年間という異例の長期交渉期間を設けたが、来年3月に迫る期限に対してシャープ幹部は「契約結び直し」の可能性に言及。同時に、出資先候補として米半導体大手のインテル、米通信大手のクアルコムなどの社名も浮上し、鴻海の存在感は薄まるばかり。
9日夜には鴻海グループの中国工場で5千人規模の暴動が再び勃発(ぼっぱつ)するなど、さまざまな障害が両社の交渉に影を落とし、交渉締結の糸口はみえない。
「(来年3月に間に合わなければ)その時点で契約の結び直しなど、別の手を打てばいい」
11月9日。シャープの幹部は、大阪市内で記者団にこう言い放った。1日の会見で、奥田隆司社長が「来年3月に間に合わないことは想定していない」と述べたのに対し、3月までの鴻海との交渉締結が絶対でないことを示唆したものとみられる。
こうした発言が飛び出した背景にはシャープ株の回復の見込みが低いことがある。3月の契約合意時には1株550円だったが、現在では150円前後まで下落。このため、「まずは業績を回復させること」(奥田社長)で株価の上昇を目指すが、思惑通りには進まない。
1日に発表した平成25年3月期の連結最終赤字見通しは過去最悪の4500億円だけに、「今の決算内容では来年3月までに550円なんて戻らない」(同社幹部)とこぼす。
経営再建中のシャープにとって鴻海との提携は資本増強のために何としてでも実現にこぎつけたいが、交渉は難航しており、来年3月の期限は刻々と迫る。
今年3月の契約合意から1年間という長期の交渉期間を設けたものの、7月から両社による堺工場(堺ディスプレイプロダクト)の共同運営以外、目立った動きはない。
「このところ彼(鴻海の郭台銘会長)も忙しいみたいで、最近は電話会議ができていない」。奥田社長は鴻海との交渉状況についてこう説明する。また、鴻海グループの中国工場で頻繁に起こる暴動も、両社の交渉に影を落とす。
11月9日には、米アップルの製品を受託製造する広東省の鴻海グループ工場で従業員5千人による暴動が発生。きっかけは、警備員が賭け事をしていた従業員を連行しようとしたということだが、工場施設が破壊・放火され、香港メディアによると、数百人の警察官が出動する騒ぎとなった。
9~10月にも山西省や河南省の工場で2千~4千人規模の暴動やストライキが発生。劣悪な工場環境と厳しい業務管理があるとされ、日頃の従業員の不満が一気に爆発、暴動につながっているとみられる。
鴻海との交渉が長引く一方、シャープへの出資先候補として、インテルやクアルコムなど鴻海以外の社名も浮上し始めた。
現在、シャープは両社と協議を進めており、インテルからは最大400億円の出資を受ける方向で交渉中。複数の企業名がクローズアップされる中で、鴻海の存在感は次第に薄まりつつあり、ある市場関係者は「中国での相次ぐ暴動などはあまりにもイメージが悪い。シャープ自体も鴻海との連携に腰がひけてきたのでは…」と推測する。
シャープは今回の4~9月期連結決算で、自己資本比率が9・9%と“危険水域”に突入。早急な資本増強が必要で、しかも鴻海との交渉期限があと約4カ月に迫っているにもかかわらず、両社に特段の動きはみられない。シャープ社内では、すでに鴻海以外を想定した資本増強策が検討されている可能性が高い。