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怯える韓国勢!? パナソニックのプラズマ撤退は「数年後の自らの姿」か
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家電量販店でかつては人気を集めていたパナソニックのプラズマテレビ「ビエラ」=平成19年6月、大阪市北区 パナソニックは28日、新中期経営計画を発表し、プラズマテレビからの撤退方針を表明する。これは日本の家電メーカーが「テレビで稼ぐ時代は終わった」ことを象徴するとともに、韓国サムスン電子、LG電子に“完全敗北”したことを意味する。ただ、韓国勢も背後には中国勢が迫っており、安穏とはしていられない。パナソニックによるテレビ事業の縮小は「数年後の自らの姿」なのかもしれないからだ。
「あなたたちは、いつか韓国メーカーに負ける」
日本企業の攻勢で、家電部門を売却した米ゼネラル・エレクトリック(GE)のカリスマ経営者、ジャック・ウェルチ元最高経営責任者(CEO)は、パナソニックの関係者にこう話した。約30年前のことだ。
この予言通り、パナソニックは、家電の看板商品だったテレビ分野で韓国サムスン電子、LG電子の後塵(こうじん)を排し、そして今回、プラズマテレビからの撤退に追い込まれた。
パナソニックは、プラズマテレビをブラウン管テレビに代わる次世代テレビの本命と位置付け、平成9年に発売。その特徴は「高精細」と「大型化」といわれたが、液晶テレビも技術革新が進み、同様の性能を持ち始めると、競争力は一気に低下した。薄型テレビ市場での存在感は薄れ、もはや“風前の灯”である。
これまでにパナソニックは、プラズマパネルを生産するため、総額5千億円以上を投資。この過剰投資が財務基盤をむしばみ、24年3月期、25年3月期(見込み)の最終損益は2年連続で7千億円を超える巨額の赤字を計上した。
ここ数年、パナソニックのテレビ事業は赤字を垂れ流しており、今回の撤退はまともな経営者ならば「当然」というべき決断だ。
早ければ、26年度にもプラズマテレビの生産を停止するとみられるが、パナソニック関係者は「プラズマへの過剰投資が失敗だと分かっているにもかかわらず続けてきたのは、パナソニックのつまらない意地そのものだ」と言い放つ。
1960~80年代、日本の家電各社は絶頂をきわめ、その原動力となったのがテレビだ。ピーク時には各社の全売上高に占める比率が約4分の1にまで達したことがある。世界の薄型テレビ市場(売り上げベース)をみると、2005年はパナソニックが約13%と首位で、シャープが3位(シェア11%)だった。
しかし、2011年はサムスン(23%)、LG(13%)と韓国勢が1、2位を独占。ちなみに日本企業はソニー10%、パナソニックとシャープが各6%と低迷した。かつて日本が米GEなど米国を抜いたように、韓国勢が「家電の盟主」という地位を日本から奪い取った。
市場調査会社ディスプレイサーチによると、12年の世界テレビ市場で、サムスンはシェア21%と7年連続で首位をキープ。2位のLGとあわせ、韓国企業のシェア合計は36%と世界のテレビの3分の1以上は「韓国製」という圧倒的な存在感をみせつけている。
こうした中で、パナソニックがプラズマテレビからの撤退を固めたことは、韓国企業がかつての王者・日本をたたきのめし、退場させたことを意味する。ある大学関係者は「テレビは韓国に譲り、日本は新しい技を見つけないと…。家電メーカーだから家電にこだわる必要はない」と、今後の日本企業の方向性についてこう示唆する。
テレビ分野で世界の頂点にのぼりつめた韓国。しかし、業界内では「その栄華はそれほど長く続かないのでは…」(関係者)という声も少なくない。中国の家電メーカーが猛烈な勢いでサムスン、LGを追い上げているためだ。
中国のシェア(2012年)は21%と、初めて20%を突破。企業別でも中国TCLが5%とパナソニックを抜き、4位に上昇している。家電業界に詳しいアナリストは、韓国勢は技術力で世界の頂点に立ったわけではない。デジタル技術の進歩と通貨(ウォン)安を武器にシェアを伸ばしてきた」と指摘。その上で「この『韓国モデル』をまねして急成長しているのが中国企業だ」と強調する。
韓国企業にとっては、このところのウォン高がグローバル競争力の足かせとなっているほか、中国企業が着実に技術力をつけてきていることも脅威となっている。しかも、サムスンなどは日本の優秀な技術者を高給で引き抜き、日本製に匹敵するテレビを作り上げてきただけに、日本の家電業界が低迷する中で日本の最先端技術を今後あてにすることはできない。
ジャック・ウェルチ氏のこの予言は、30年後に現実のものとなった。それに対し、韓国が中国に追い抜かれるのは「意外と早く、数年後だろう」(関係者)という声は多い。
ニッポン家電の没落は他人事ではない-。韓国企業は技術ノウハウの少なさが弱点といわれるだけに、こんな危機感を今、募らせているのかもしれない。(島田耕)