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「禁煙」「非メタボ」社員に健康手当 オートバックス子会社の狙いとは?
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全面禁煙のコアーズインターナショナルのオフィス 禁煙すれば月2000円、メタボでなければさらに3000円上乗せ-。自動車用品販売オートバックスセブンの子会社で、自動車用品卸のコアーズインターナショナル(堺市堺区)は、社員の健康を後押しするため、こんな太っ腹な「健康手当」制度を導入している。ここまでして、社員の健康に気遣う理由とは…。
健康手当の対象者は、もともとたばこを吸わなかったり、喫煙をやめたりした社員。
受動喫煙防止対策として、職場での全面禁煙や分煙への社会的機運が高まる中、「社員の健康は会社の財産」と考え、会社として禁煙を後押しすることを目的に、平成22年に導入した。
男性社員の多い同社では、それまで喫煙率は6割を超えていた。
しかし、受動喫煙の防止をうたう「健康増進法」が15年に施行され、同社でもオフィスの禁煙・分煙化を進める中、喫煙率そのものを下げて、社員の健康につなげようと、手当の支給を決めた。
それまで喫煙者だった社員が手当をもらうには、「健康宣言書」に署名して禁煙を誓う必要がある。宣言書には家族の署名も必要で、社内に限らず、家庭でも禁煙しなければならないという徹底ぶりだ。
手当の導入を機に、禁煙を始めた社員も多い。「いつかは禁煙したいと思っていたので、いいきっかけになった」「禁煙したことに加えて、手当ももらえて家族も大喜び」など、社員からは好評という。現在は、社員の喫煙率は5割以下に減少した。
ただ、どうしても禁煙が続けられず、「手当をやめてください」と自己申告してきた社員も数人はいるとか。
同社の健康手当は禁煙にとどまらない。禁煙したうえに、腹囲(へそ周り) が男性85センチ以上、女性90センチ以上など「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」の基準に満たない“非メタボ社員”には、3000円の手当を上乗せ支給しているのだ。
メタボは、肥満症や高血圧症などの生活習慣病を複数併発した状態。
腹囲に加えて、中性脂肪や血圧、コレステロール値が基準を超えると診断される。進行すると、心臓病、脳卒中、がんなどにかかるリスクが高まる。
同社が健康手当を導入したのは、受動喫煙防止が法令で義務づけられているという理由のみではない。
メタボが進行して重大な生活習慣病にかかる社員が増えれば、満足に働ける人員が減ってしまうというリスクも抱えるからだ。
社員が大病を患うよりも、「健康手当」を支給する方が病気予防につながるので結果的に損失が少なく、会社にも社員にもメリットがある。
「社員にとっては手当を励みにすることで生活改善につながる。また、年に1度の健康診断で成果が分かるため、励みになる」と担当者は説明する。(阿部佐知子)
本 社=大阪府堺市堺区宿院町西1-1-3 堺フェニックスビル5F
設 立=昭和63年6月
事業内容=自動車用品総合卸商社、カーライフ商品の企画・販売
売上高=43億3300万円(平成25年3月期)
従業員数=56人(平成25年3月)