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目標達成の社員に旅費20万円支給 リクルートキャリア“ご褒美制度”の思惑

ニュースカテゴリ:企業の経営

目標達成の社員に旅費20万円支給 リクルートキャリア“ご褒美制度”の思惑

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ギブ制度で旅行にでかけたリクルートキャリアの社員たち。普段できないことをしようと、リムジンを貸し切って名古屋市内をドライブ旅行した(同社提供)  所属する部署の目標を達成したご褒美に、会社が旅行費用を1人につき最大20万円支給-。総合人材サービス業を手掛けるリクルートキャリアが、こんなやる気の出る制度を設けている。ただし、旅行の条件は社員4人以上で一泊以上。3人以下なら支給額は半分になる。制度の背景には、目標達成の喜びを同僚と共有させ、さらにチームワークの強化につなげるという、会社側の思惑があるようだ。

 四半期ごとに目標

 この制度は「ギブ(GIB=Goal in Bonus)制度」と呼ばれ、同社の前身のリクルートエージェントの創業時から実施。リクルートといえば、優秀かつ仕事に意欲的な社員を多く抱える会社で知られる。ギブ制度は社員のやる気をさらに引き出し、目標達成へのひとつの動機付けになっている。

 ギブ制度では、会計年度と同様に四半期ごとに会社側が売り上げなどの目標を設定。1年が経過した後、四半期ごとの目標がどれだけ達成できたかを振り返る。目標が達成できれば、1四半期で最大5万円、4四半期で同20万円が、その部署に所属する一人ずつに支給される。

 注目すべきは、与えられた金額の使途にまでこだわるところだ。会社側は、組織としての横のつながりを強化させ、社員同士の信頼を向上させるため、社員4人以上のグループで1泊以上の旅行に行くようにすすめる。この条件でお金が使用されなければ、支給額は半分に。ただし、全額を旅行代金に使う必要はなく、余ったお金は自由に使うことができる。

 9割が社員同士で旅行

 目標を達成した社員の9割超は、支給されたお金で社員同士の旅行に出かけるという。また、旅行に出かけるグループの構成メンバーは部門をまたぐことがほとんど。旅行では、普段の業務では接することの少ない他部署との交流で、新たな刺激が生まれる。

 旅行は国内や海外さまざまだ。多忙な社員の場合は近場で一泊旅行というのもあるが、時間がとれる場合なら数日かけて海外旅行に行く。

 例えば、広報部に所属するある社員は、ギブ制度を利用して今夏、同じ広報の社員4人と転職相談担当の社員1人とともに、東京都内の1泊旅行に出かけた。昨年春にオープンした東京スカイツリーや、すみだ水族館を訪れたあと、有名イタリアンレストランに。その後、浅草ビューホテルにチェックイン、ホテル内のバーに行って、翌朝に解散するという行程だった。

 また、別のメンバーは、東京・品川区の大井競馬場で夜間に開催するトゥインクルレースを観戦。その後、地元の黒湯温泉の旅館に宿泊。このときも、システム部門や人事部門など部署を超えたメンバーがそろった。このほか、ハワイで数日間ゴルフを楽しんだり、アフリカでサファリツアーに出かけたりという社員もいた。

 旅行で同僚を知る

 旅行が楽しいのはもちろんだが、そこで新たに気付いたことが、その後の社内の横のつながりを強化させる。

 ある社員は「旅行を通して、今まで気付かなかった同僚の新たな一面に触れたり、他の部署の仕事内容が初めて分かったりすることがある」と話す。ギブ制度は社員と会社の両方にとってうれしい制度だ。(中山玲子)

◇会社データ◇

本 社=東京都千代田区丸の内1-9-2グラントウキョウサウスタワー

設 立=昭和53年11月28日

資本金=6億4335万円

事業内容=人材採用広告事業、斡旋事業、選考支援事業

従業員数=2555人(平成25年4月1日時点)

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