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みずほ銀、甘い企業統治、利益供与の反省生きず
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みずほ銀行の暴力団関係者らへの融資を調べてきた第三者委員会は、28日公表した報告書で甘い企業体質を厳しく指弾した。かつて総会屋への利益供与事件や反社会的勢力の「フロント企業」への顧客情報流出などの問題を起こし、そのたびに再発防止を誓っただけに、佐藤康博頭取の「もう一度原点に立ち返り、強いグループを再生する」との宣言もむなしく響く。信頼回復への道は険しい。
「社会に範たるべき日本を代表する銀行として問題性は軽視できない」「組織として問題を看過する体制に陥っていたことに重大な問題がある」
第三者委の報告書には、同行の体質を批判する言葉が並んだ。それでも社内処分でトップにとどまる佐藤頭取は「辞任する考えを持ったことはない。グループ再生に私が全身全霊で取り組む」と言い切った。
思い起こされるのは過去の不祥事だ。みずほ銀行の前身の旧第一勧業銀行で1997年に発覚した利益供与事件では、当時の頭取が「背景に組織上、風土上の問題があった。再発防止に万全を期す」と強調。2006年にフロント企業への顧客情報漏洩(ろうえい)で行員が逮捕された事件でも「内部管理体制の一層の充実強化を図る」と宣言した。
それでも再び、内部管理や組織の問題に起因すると指摘される不祥事を引き起こした。みずほ銀行の再発防止策をめぐり、あるメガバンク幹部OBは「これまでの防止策と何が違うのか」と疑問を投げかける。
行内にも不満がくすぶる。「またD案件に足を引っ張られた」。「D」は前身の旧第一勧銀の頭文字。提携ローンを扱った信販会社オリエントコーポレーションの歴代社長は第一勧銀出身者が務める。利益供与事件に続き問題の発端となったことに、リテール(個人)分野に強い旧富士銀関係者から憤る声も漏れているという。
第三者委の中込秀樹委員長は、旧3行の出身者の間で派閥的な意識は「ほとんど払拭されているように思う」と述べた。ただ、報告書で指摘された「役職員の退任・異動に伴う断絶」や「部署間のコミュニケーション不足」は、出身行の違いによる意識の垣根が背景にあるとの見方はぬぐいきれない。
みずほ銀行が新たに取り組む銀行本体への社外取締役の導入などは他行は導入済み。「何にしても遅れている感がある」(金融関係者)とささやかれるみずほ銀行が、社会の信頼を回復するのは容易ではない。(塩原永久)