ニュースカテゴリ:企業
サービス
西武HD再上場 「サーベラスの動向次第」…視界不良の船出
更新
西武ホールディングスが東証第1部に上場したことを祝うセレモニーで鐘を打つ後藤高志社長=23日午後、東京・日本橋兜町の東証 西武ホールディングス(HD)の再上場は「視界不良の船出」となった。発行済み株式の35%以上を保有する大株主の米投資ファンド、サーベラスが再上場直前に保有株の売り出しを見送ったことで「市場に不信感が広がった」(大手証券会社)からだ。サーベラスは今後も経営に一定の影響力を持ち続けるとみられ、その動向が焦点となる。
西武HDの後藤高志社長は23日の再上場会見で「新たな夜明けを迎えた。いろんなことがあったがホッとした。コンプライアンス(法令順守)の状況も全く違う」と悲願だった再上場までの道のりを振り返った。
前身の西武鉄道が上場廃止となった2004年度末の有利子負債は約1兆3500億円。その後にグループを再編してリストラを重ね、12年度末に負債は約8400億円まで減少した。
現在は旧赤坂グランドプリンスホテル跡地を複合大型施設とする「紀尾井町計画」や、JR品川駅周辺など都心での大型再開発計画が進行中。景気回復を背景に地価は上昇気流にあり、20年の東京五輪を追い風に「新たなビジネスモデルを構築する絶好の機会」(後藤社長)と期待がかかる。
こうした経緯から西武HDとサーベラスは、売り出し価格に過度な期待を抱いていたふしがある。サーベラスが取得した際の株価は1株約1000円とされ、想定する利益を得るには「最低でも2000円は譲れない」と関係者は打ち明ける。
だが当初想定した売り出し価格2300円は、鉄道事業を中核に沿線開発や商業施設を展開する同業他社の収益性や株価と比べて「割高」との指摘が少なくなかった。
4月上旬に西武HDが米ニューヨークで開いた投資家向け説明会でも同じ指摘が相次ぎ、サーベラスは異例の見送りを決めた。西武HDが知ったのは公表直前。「和解」を強調してきた両者だが、コミュニケーション不足が表面化した。
サーベラスは23日、「上場を喜ばしく思う」とのコメントを発表した。今後は株価が目標の2000円となったところで、保有株を市場で段階的に売却していくとみられる。その過程で経営陣に何らかの働きかけをする可能性もあるが、後藤社長は「信頼関係を構築している」と強調。「経営に関与せず、株式の買い増しもしないと聞いている。球団売却や不採算路線の廃止はない」と話した。
それでも市場には「サーベラスが株式を保有し続けることがリスク」との見方がくすぶる。まずは株価が2000円になるまで二人三脚で経営改革を進めていけるのか。すべてはサーベラスの動向次第となる。(藤沢志穂子)