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【浜松物語】河合楽器(2)「国内外のピアノ演奏家のために調律師200人超」…河合弘隆社長
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河合楽器製作所は調律師を約200人抱え、海外研修制度も設けている 【浜松物語「やらまいか」精神を訪ねて】(18)
■調律師200人超、高い技術力
--現代最高のピアニストといわれるプレトニョフ氏が2013年、約7年の沈黙を破って演奏を再開した
「モスクワでShigeru Kawaiとその音色に出合ったのがきっかけで復活したと聞いている。昨年はアジアでもコンサートツアーを再開し、Shigeru Kawaiを使っていただいた。彼の奏でる曲は、人類の財産と言っても過言ではない。その演奏を具現化するのに当社のピアノが使われている事実。人類の財産に責任を負っていることとも同義であると捉え、その重みと誇りを感じている」
◆海外研修制度も設置
--プロの世界では演奏家ごとに、また曲目によって理想の音色も異なる
「演奏家のイメージした音を引き出し、時にそれを上回る音を生み出すために調律師は欠かせない。当社のピアノを使う層はいまや国内外に広がっており、それをフォローするために、現在200人を超える調律師を社員として抱えている。また、海外研修制度も設け、研修に行った社員は2年間、欧州の専門的な機関で学びながら、実際に各地の音楽ホールで調律に携わり、より高い技術力を身につける体制を整えている」
--世界的にメジャーなコンサートでの採用や、国際的なコンクールでの公式ピアノの認定も増えている
「交響楽団によって得意とする演奏領域は異なる。やさしい音色といわれる当社のピアノは、バロック、古典派、ロマン派、現代音楽など幅広く調和すると認識している。だからこそ、ショパン国際ピアノコンクール、チャイコフスキー国際コンクール、ルビンシュタイン国際ピアノコンクールなど国際的なコンクールでも公式ピアノとして採用され、当社のピアノを使った演奏家が数多く入賞してきたと自負している」
◆北米での売上高30%
--クラシックやオーケストラ以外の分野ではどうか
「使われる演奏領域も多様化し、その中には即興性が求められるジャズも含まれる。当社のピアノを使っている高名なジャズピアニストも多い。ここ数年の海外売上高のうち、約30%が北米市場での売り上げ。米国はジャズ発祥の地であり、この分野の構成比率は他地域に比べて高い」
--国や地域によって音楽教育の傾向も異なる
「一概には言えないが、専門的な音楽教育の世界では、徹底した英才教育でピアニストの才能を伸ばすアジア的感性と、各人の独自の方法論で才能を引き出す欧米的感性があるという私見を持っている。当社は1956年に音楽教室事業に参入、2007年からは中国でもカワイ音楽教室を展開、現在11教室ある。富裕層を中心に子供への音楽教育が熱心であると捉えている」
--ピアノの生産拠点は国内の竜洋工場のほか、インドネシアにもある
「万国共通なのは、ピアノが過酷な環境にさらされる時間の長い楽器である点。鍵盤をたたかれ、演奏中はオーケストラの音の振動を受け、会場は聴衆の出入りや照明器具の影響で温度変化も激しい。それでも長年にわたり安定した音色を出す確実性が求められる。どの工場で生産したピアノもその点は万全だ」
注:河合弘隆社長の「隆」は正確には「隆の生の上に一」