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巨額の業績修正、上場廃止、難航する後任人事…過大利益計上の東芝、20日に第三者委報告

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巨額の業績修正、上場廃止、難航する後任人事…過大利益計上の東芝、20日に第三者委報告

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東芝の定時株主総会の会場に向かう株主=7月25日、東京都墨田区の両国国技館  東芝の第三者委員会(委員長・上田広一元東京高検検事長)は20日、不適切会計問題の調査報告書を提出する。不適切な会計処理が組織的に行われたことを踏まえ、厳しく指摘する見通しだ。これを受けて、証券取引等監視委員会も本格的に処分の検討に入り、一連の問題は大きな節目を迎える。

巨額の業績修正に

 東芝の不適切会計では、工事原価の過少見積もりや費用計上の先送りなどにより、本業のもうけを示す営業利益が実態よりかさ上げされた。社内調査では計約548億円の過大計上を公表した。第三者委の調査では、決算の修正が必要とされる平成22年3月期~26年3月期の5年間の合計額は1600億円台となったもようだ。

 このため東芝は、監査法人や監督当局とも協議し、8月にも27年3月期決算と過去の修正決算を発表する予定だ。かさ上げされた利益を減らすほか、事業そのものの収益力が落ちたと見なし、工場や設備の帳簿上の価値を引き下げる減損損失も計上する。

 最終利益での減額修正は総額で1千億円超となる恐れがある。5年間の最終利益合計は3千億円超で修正額は3割以上に相当する。投資家に与える影響は少なくない。それでも黒字は確保されるため、ただちに経営危機に陥る恐れは少なく、取引のある銀行幹部も「資金繰りは心配していない」と強調する。

上場廃止は未知数

 東京証券取引所第1部に上場する東芝株については、東証が管理体制の改善を求める「特設注意市場銘柄」に指定される見通しだ。株式売買には直接影響しないが、上場を維持するためには、1年以内に改善する必要がある。

 ただ、上場廃止となるかは未知数だ。過去の粉飾決算では、カネボウ、ライブドアなどが上場廃止に追い込まれた。ともに逮捕者が出た事件だ。

 カネボウは粉飾時に上場廃止基準の一つとなる債務超過にあり、上場維持が困難とみられていた。ライブドアは子会社の株価に影響を及ぼす目的で虚偽の事実を公表するなど、悪質性が高かったとみられる。

 一方、23年に損失隠しが発覚したオリンパスでは、逮捕者が出たものの上場は維持された。上場廃止をめぐる「東証の判断基準はわかりにくい」(市場関係者)との批判もある。

大規模な引責辞任

 管理体制の改善に向け、東芝は企業統治(コーポレートガバナンス)の強化をはかる。トップが収益目標の達成を部下に強要し、不適切な会計処理が組織的に行われたことを踏まえ、東芝は経営体制を刷新する。田中久雄社長は21日に会見し、辞意を表明する見通しだ。

 現在、取締役16人中4人にとどまる社外取締役を半数以上にすることで、「外部の目」による監視を強化する。あわせて取締役会を取り仕切る議長も、社外取締役から任用する方向だ。

 最大の焦点は、田中社長の後任人事だ。第三者委は幅広い事業における問題点を指摘する方針で、経営責任を問われる役員は増えるとみられる。大規模な引責人事となるため、後任の人選は難航しそうだ。

 東芝では一連の問題以降、対外的な信頼や社員の士気が低下しているとみられる。傷ついたブランドの復活も課題となる。

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