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【伊豆大島】3地区避難指示 全域勧告 台風接近で厳戒

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【伊豆大島】3地区避難指示 全域勧告 台風接近で厳戒

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 台風26号による土石流災害が起きた伊豆大島の東京都大島町は10月25日、台風27号に伴う雨で新たな土砂災害が起こる危険性が高まったとして、元町と泉津(せんづ)、岡田3地区の計約690世帯、約1290人に避難指示を出した。その他の地区には避難勧告を発令。27号は26日朝から昼すぎにかけ最接近する見込みで、4835世帯8365人が住む島内全域で厳戒態勢に入った。

 町によると、島内全域で避難態勢を取るのは、三原山噴火で住民が島外避難した1986年以来27年ぶり。町は島内14カ所に避難所を設け、午後5時までに1000人以上が避難した。

 警視庁や町によると、これまでに31人の死亡が確認された。新たに1人の身元が分かり28人が判明。12人が行方不明になっている。警視庁や東京消防庁、自衛隊などによる捜索は、避難勧告を受け中断した。

 台風27号は25日午後6時現在、日本の南を時速約30キロで北東に進んだ。中心気圧は965ヘクトパスカル、最大風速は30メートル、最大瞬間風速は45メートル。25日は徳島、高知県の各地で1時間40~50ミリの激しい雨を観測。徳島、愛媛、高知各県の一部には避難勧告が出た。

 気象庁によると、26日に八丈島の南を東進し、27日には日本の東で温帯低気圧に変わる見込み。伊豆諸島を含む東日本太平洋側では、26日明け方にかけ非常に激しい雨が降る。

 非常に強い台風28号は北上を続け、小笠原諸島に近づいた。

 ≪10月の台風最多6個 暖水域東寄りが原因か≫

 10月に入って日本に接近した台風は、27、28号で6個となり観測史上最多となった。原因は何なのか。

 気象庁気象研究所の和田章義主任研究官は、台風が生まれる熱帯太平洋の暖かい海域と、太平洋高気圧が例年に比べて東に寄っていることが関係していると指摘する。

 台風は熱帯の暖かい海域で発生し、太平洋高気圧の縁に沿って移動する。和田研究官によると、10月の台風はフィリピンの東沖で発生し、北西に進んでフィリピンや台湾で大きな被害をもたらすパターンが多い。ところが今年は、暖かい海域が例年よりも東側にあり、さらに太平洋高気圧も東寄りに居座ったため「日本に近づく台風が多い」という。

 また暖かい海域の北端を通る東風の吹き方が、台風の“卵”となる大気の渦をつくりやすい条件となったのも一因だ。台風の卵に暖かく湿った空気が補給され台風に成長。先行する台風が後続の台風の渦の回転を強める効果もあって、台風が発達しやすかったという。

 地球温暖化と台風の関係も気がかりな点だ。9月に国連の専門家組織が発表した最新の報告書は、海水温が上がり続け、温暖化が進んでいることを警告した。和田研究官は、今年の台風発生との関連や将来の具体的な異変は分からないとしながらも、「海の蓄熱量が増えれば、台風の中心気圧は低下し、最大風速は強まる」と説明する。

 環境省などが今年3月にまとめた温暖化の影響に関する報告書は、スーパーコンピューターを使った最先端の研究結果として「今世紀末には、最大風速が67メートルを超えるような極端に強い台風の数と最大強度が顕著に増大する」とした気候予測を紹介した。(SANKEI EXPRESS

 ■避難勧告と指示 大雨や洪水、地震などの災害発生やその恐れがある場合、市町村長は災害対策基本法に基づき、住民に立ち退きを求める「避難勧告」ができる。近くで実際に災害が起きたり、前兆があったりして緊急性が高い際は、より拘束力の強い「避難指示」を出せる。避難しなくても罰則はない。勧告前の段階で出す「避難準備情報」に法的な規定はないが、避難に時間がかかる高齢者や障害者といった災害弱者に早めの準備を促す意味がある。

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