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シャトー・ラグランジュ取得から30年のサントリー 青木冨美子
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1983年12月15日、サントリーは仏ボルドー地方メドック地区サンジュリアン村にある格付け第3級のシャトー・ラグランジュ(以後ラグランジュ)の経営に参入しました。仏政府が欧米以外の企業にシャトー所有を許可したのは初めてのことです。メドック地区の格付けは、第1級から第5級に分けられ、今に至っていますが、これはナポレオン3世の命で、1855年のパリ万博を契機に実施されたものです。当時の名声、取引価格等を参考に、約500のシャトーから58(現在61)が選ばれました。
第3級のラグランジュは1631年の古文書にも出てくる名門ですが、サントリーが取得した時にはすでに昔の勢いは失せていました。ここから“新生ラグランジュ”誕生に向けての大改革が始まります! 醸造学の大家エミール・ペイノー博士に協力を仰ぎ、博士門下のマルセル・デュカス、鈴田健二両氏を筆頭に、栽培や醸造面で徹底したテコ入れを実施。ラグランジュの品質は大きく変化していきます。
30周年記念の垂直テイスティングには初ビンテージ(VT)の1984年から2011年までの28VTが一堂に会しました。ラグランジュの椎名敬一副会長は「荒れ果てていたシャトーがあるべき姿を取り戻すまでに20年の努力が注ぎ込まれました」と語っていましたが、その成果は直近10年間のラグランジュの味わいにしっかり反映されていました。(ワインジャーナリスト 青木冨美子/SANKEI EXPRESS)