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政治
【Q&A】公共工事「入札不調」 工期遅れ市民生活に影響も
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建設業の就業者数と建設投資=2014年2月25日現在、※2013年度は国土交通省の推計 国や地方自治体が発注する庁舎の建設や校舎の耐震改修といった公共工事で「入札不調」が増えています。
Q 入札不調とは何ですか
A 公共工事の入札に、建設業者が一社も参加しなかったり、参加者が足りなかったりして受注する業者が決まらないことです。すべての業者が、落札の上限価格である予定価格よりも高く入札してしまい、落札者が決まらない「不落」も増えています。
Q どうして不調や不落になるのですか
A 建設業界で働く人が減っているのに、東日本大震災の復興事業などの公共工事や民間の建設工事が急に増え、人手が足りなくなっているからです。
国や自治体が入札をしても業者のスケジュールが埋まっていたり、人件費が上昇したりしているため「予定価格では安すぎて赤字になる」とみて、参加を見送る業者も増えているようです。
Q どんな影響が出ているのでしょうか
A 例えば、山口県周南市(しゅうなんし)では小中学校の耐震化工事が入札不調となり、夏休みに予定していた工事が来年に先送りとなる可能性もあります。工事の遅れで4月のオープンが延期となった保育施設が相次いでいるほか、老朽化した国立病院の病棟建て替え工事も遅れるなど、市民生活への影響も出ています。
Q 働く人を増やせないのでしょうか
A コンクリートを流し込む枠をつくる型枠工は一人前になるまで10年かかるといわれ、建設作業員の中でも技能労働者の人材育成には時間がかかります。建設業界としては、国や自治体が今後も安定して公共事業を発注する見通しがなければ、採用を増やすことに慎重にならざるを得ないようです。
Q 政府の対応は
A 業者が落札しやすい予定価格の設定につなげようと、公共工事の人件費の目安とする「労務単価」を2013年度に2回引き上げました。業者に待遇改善を促し、若者の就業を増やす狙いです。
政府は短期的な人手不足を補おうと、ベトナムなどアジア諸国からの技能実習生の受け入れを拡大する方向で検討しています。ただ、外国人を低賃金で使う企業が増えることで、国内の賃金水準が抑えられるといった不安の声もあります。(SANKEI EXPRESS (動画))