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社会
【東日本大震災3年】被災地再訪(3) きょう持ち上げるのはかわいい妹
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「水をくむ少年」松本魁翔君もいまや中学1年生になった。バスケットボール部に入り日々練習に励む。小学生から続けている空手も継続して多忙な毎日ながら、米研ぎとお風呂掃除などの家事も手伝う=2014年2月17日、宮城県気仙沼市(矢島康弘撮影) ≪宮城県気仙沼市 松本魁翔君(13)≫
震災直後の断水で、がれきの中、片道1キロの井戸へ毎日3往復、特大の焼酎のペットボトルを手に水くみを続けた少年がいた。落ちていたくぎが靴底を貫き、足に突き刺さったこともあったという。
「水をくむ少年」。その姿は、通信社のカメラマンに撮影され、国内外の新聞に写真が掲載された。さらにその記事に感銘を受けた俳優の高倉健さん(83)が写真を切り抜き、映画の台本に貼り付けて撮影に臨んだことで話題になった。
少年は宮城県気仙沼市の松本魁翔(かいと)君(13)。水を重そうに運んだ少年もいまや中学1年生。一昨年生まれた妹を軽々と抱き上げることができる。
仮設住宅に隣接する中学校に通う。バスケットボール部に入り、練習に励む日々を送る。1年生ながら本吉・気仙沼地区の選抜チームにも招集される実力派だ。小学生から打ち込んでいる空手も続けている。
家庭内でも、妹の面倒をみるほか、風呂掃除や米とぎなどの家事も積極的に手伝う、いいお兄ちゃんだ。
「震災後、いろんな人に出会い、助けてもらった。だから困っている人がいたら助けてあげられる大人になりたい」
震災直後のあどけなさの残る少年は、一回り成長したように感じた。
≪宮城県気仙沼市 松本魁翔君≫
震災直後、特大の焼酎のペットボトルに入れた水を重そうに運んでいた「水をくむ少年」松本魁翔(かいと)君もいまや中学1年生になった。(2014(平成26)年2月17日)
がれきの中、一生懸命水を運ぶ松本魁翔(かいと)君。この写真は「水をくむ少年」というタイトルで国内外の新聞に掲載され、俳優の高倉健さんの心をも動かした。(2011(平成23)年3月14日)
≪岩手県下閉伊郡山田町 大川海渡君 海成君(いずれも中3)≫
岩手県下閉伊郡山田町で同じ中学の3年生になった双子の兄、大川海渡(かいと)君と弟の海成(かいせい)君。柔道で体を鍛え、県大会の団体戦で準優勝したこともある。
震災直後の3月31日、町立大沢小学校の卒業式後に教室で頬をつねり合い、顔をゆがめていた2人。津波で自宅を失い、今も仮設住宅で暮らしている。
この4月からは別の高校に進学する。海渡君は、宮古水産高校で、父の後を継いで漁師になる勉強に励むという。海成君は宮古高校で将来の目標を探す。
2人とも柔道は続ける。春以降、県大会で敵味方に分かれて初めて戦うことになる。互いに「自分の方が強い、負けない」と目を合わさずに話す姿に、3年前の姿が重なった。
≪岩手県下閉伊郡山田町 大川海渡君 海成君≫
3年前と同じようにお互いの頬をつねるポーズを取る双子の兄、大川海渡君と弟、海成君。4月からは別々の高校へ進み、柔道の県大会では初めて敵味方となって戦うことに。(2014(平成26)年2月11日)
山田町立大沢小学校を卒業した双子の兄、大川海渡(かいと)君と弟の海成(かいせい)君。(2011(平成23)年3月31日)
≪宮城県亘理郡亘理町 小野寺夏美さん 若生胡桃さん≫
小学校からの同級生の小野寺夏美さんと若生胡桃さん(いずれも15)は、4月から別の高校に進学する。吹奏楽部での楽しかった思い出を胸に、それぞれの道を行く2人。将来の夢に向かって共に頑張りたいと再び力強いメッセージを書いた。(2014(平成26)年2月21日)
小学校からの仲良しの小野寺夏美さんと若生胡桃さん。一緒に避難生活を送る避難所で前向きな明るいメッセージを書いた。(2011(平成23)年4月24日)
≪宮城県仙台市青葉区 川上理恵さん 健太君≫
宮城県仙台市青葉区の川上理恵さん。「地震が怖い」と言っていた長男の健太君(6)は4月から小学校に上がる。黒いランドセルを準備して、小学校生活が待ち遠しい様子だ。震災の翌年に生まれた長女、楓禾(ふうか)ちゃんも歩き始め、以前のようなにぎやかな生活が戻りつつある。(2014(平成26)年2月21日)
震災直後に川上理恵さんは「子供のストレスが心配」とメッセージを書い( 2011(平成23)年3月26日)
≪宮城県本吉郡南三陸町 阿部舞さん(14) 佐々木夏蓮さん(14) 空君(4) 礼君(12) 禅君(9) 千葉航洋君(14)≫
更地が広がる宮城県本吉郡南三陸町志津川。(左から)阿部舞さん(14)と、佐々木夏蓮さん(14)、空君(4)、礼君(12)、禅君(9)の姉弟、そして千葉航洋君(14)の6人は震災直後、避難先となった町立志津川小学校で肩を寄せ合って過ごした仲間だ。
当時小学5年だった航洋君、夏蓮さん、舞さんは中学生で、来年は高校受験を控える。「温かい炊き出しを今も懐かしく思いだす」という航洋君は今、サッカーに夢中で「プロになりたい」と夢を膨らませる。
ソフトボールの県選抜選手として活躍する夏蓮さんは「語り部」として県内外から来る人たちに震災体験を伝えている。将来は保健体育の先生になることが夢だ。舞さんは、ソフトテニス部に所属。「震災で小学校の友達が引っ越したのが寂しかった」と話す。
震災直後の避難生活をともに乗り切った6人の絆は固い。
≪宮城県本吉郡南三陸町 阿部舞さん 佐々木夏蓮さん 空君 礼君 禅君 千葉航洋君≫
震災直後、志津川小に避難していた阿部舞さん、佐々木夏蓮さんと空君、礼君、禅君の姉弟、千葉航洋君。後方の建物は舞さん、夏蓮さん、航洋君が通っている志津川中学校。この中学も震災直後は避難所だった。(2014(平成26)年2月23日)
「みなさん大丈夫ですか?」とメッセージを掲げる佐々木夏蓮さんと、弟、妹、友人ら。(2011(平成23)年3月19日)(EX編集部/撮影:矢島康弘、鈴木健児、安元雄太、鴨川一也、寺河内美奈、植村光貴、共同/SANKEI EXPRESS)