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【逍遥の児】ロケ地を巡って浦安再発見
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早春の週末。空。青く晴れ渡る。わたしは千葉県浦安市の神社に向かった。約束の5分前に到着。すでに境内には5人の若者が集まっていた。浦安ロケーションボックスの面々。今月(3月)15日、浦安のロケ地を紹介するフリーペーパー「ソレココ!」を発行した。
「おはようございます」
にこやかにあいさつ。好感を抱く。
代表の佐原光さん(26)。浦安在住の会社員だ。
「母方の祖父は、浦安の漁師でした」
そうか。漁師の孫か。浦安はかつて漁師町だった。昭和初期。青年作家だった山本周五郎は、この町で暮らした。小型のべか舟が行き交う。独特の風土。気質。自らの体験をもとに「青べか物語」を執筆している。
3年前の東日本大震災。埋め立て地が多い浦安では液状化現象が起きた。突き出すマンホール。上下水道は寸断され、家屋は傾いた。砂塵(さじん)舞う荒涼たる状況が出現した。若い世代は、流出していった。佐原さんたちは危機感を抱いたという。
「浦安を再び、活性化したい。なにか僕たちにできることはないか」
着目したのが、ロケ地だった。漁師町の風情と現代的な都市機能が混在する。映画。テレビドラマ。CM。浦安を舞台にした映像作品はたくさんある。
「ロケ地を通して浦安の魅力を再発見し、発信しよう。若者たちが愛着を持ってくれるかもしれない」
昨年(2013年)春、フリーペーパー「ソレココ!」を企画。取材を始めた。編集長は、立教大学4年、山崎稚葉(わかば)さん(22)。テレビドラマ「リーガル・ハイ」などのロケ現場を探し歩いた。映画「アナタの白子に戻り鰹(がつお)」の今井真監督と主演した異色のロッカー、森田釣竿さんにインタビュー。1年かけてようやく完成した。
「読んでいただき、友達や家族とロケ地で会話が弾めば」(山崎さん)
――さて君たちの写真を撮影しようか。
境川周辺を歩く。川面。舟が浮かぶ。西水門を背景。わたしはカメラを構えた。いい笑顔だ。
そういえば、ここは…。「男はつらいよ・望郷編」の撮影現場ではないか。寅(とら)さん。懐かしい。(塩塚保/SANKEI EXPRESS)