SankeiBiz for mobile

【クリミア併合】「チョコレート王」一躍本命 ウクライナ大統領選に出馬表明

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

【クリミア併合】「チョコレート王」一躍本命 ウクライナ大統領選に出馬表明

更新

 混乱が続くウクライナで5月25日に投票される予定の大統領選で、最近の世論調査で最有力候補に躍り出た最高会議(議会)無所属議員のピョートル・ポロシェンコ氏(48)が3月28日、出馬表明した。外相などの要職を歴任する一方、製菓会社やテレビ局を所有し、ウクライナの「チョコレート王」の異名を取るポロシェンコ氏。党派を超えた豊富な人脈と有能な経営者としての危機脱却手腕に期待が集まっているが、第1回投票で過半数を獲得するのは至難とみられ、決選投票にずれ込む公算が大きい。

 30日に立候補が締め切られるウクライナ大統領選には、これまでに、ヤヌコビッチ前政権下の野党第二党「ウダル(一撃)」党首で世界ボクシング評議会(WBC)元ヘビー級王者のビタリ・クリチコ氏(42)や、前政権下の野党第一党「祖国」を率いるユリヤ・ティモシェンコ元首相(53)ら10人以上が出馬を表明している。締め切りが迫る中、ウクライナ最大の製菓会社「ロシェン」のオーナーで大富豪でもあるポロシェンコ氏の去就が注目されていた。

 ポロシェンコ氏は28日夜、地盤の西部ビンニツァで支持者らを前に出馬を表明。会見ではロシアに編入された南部クリミア半島について「取り戻せると確信している」と語り、さらに「国家主権を守るため軍を強化する必要がある」と訴えた。

 ライバルは元ボクサー

 ポロシェンコ氏は親欧州連合(EU)穏健派で歴代政権と近く、2004年の親欧米派のオレンジ革命を資金面で支えたが、ロシア寄りとされるヤヌコビッチ政権下でも経済発展・貿易相を務めた。

 前倒しされる大統領選では当初、カリスマ性があり政治色に染まっていないクリチコ氏が最有力とみられていた。しかし、ウクライナの混乱、経済危機が深まるのに歩調を合わせるかのようにポロシェンコ氏の支持率が伸張。今月初めの世論調査では、ポロシェンコ氏の支持率は21.2%でトップとなり、クリチコ氏14.6%、ティモシェンコ氏9.7%と続いた。

 (3月)26日に発表された世論調査ではさらに差が開き、ポロシェンコ氏の24.9%に対して2位のクリチコ氏は8.9%、3位のティモシェンコ氏は8.2%。他の候補者たちは1~7%と低迷している。ビクトル・ヤヌコビッチ前大統領(63)が率いた親ロシア派の旧与党「地域党」は、先の政変で指導者と国民の信頼を失い、有力候補が不在のままだ。

 露の工場接収に憤り

 昨年(2013年)11月に始まった大規模な反政府デモを資金面で支援したとされるポロシェンコ氏は、今月(3月)に入ってからロシア国内のロシェンの工場がロシア当局によって“懲罰”として接収されており、ロシアへの憤懣(ふんまん)が強い。

 会見では「国の方向性を自分たちで決めるために代償を払うのは、価値がある。ウクライナはEUを目指すべきだ」と明言した。また、クリチコ氏は「われわれが戦うのは国の将来。お互いに戦うべきではない」とも述べており、ポロシェンコ氏とクリチコ氏が選挙協力を行う可能性が出てきている。

 ウクライナ情勢の帰趨(きすう)は、エネルギーの安全保障、世界経済へ及ぼす影響が大きい。大統領選は日本にとっても決して遠い国の政局ではない。(SANKEI EXPRESS

ランキング