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幸せをつかみにいかない人 切ない 映画「そこのみにて光輝く」 池脇千鶴さんインタビュー
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「あなたが千夏ならばどんな道を進みますか」と問いかける、女優の池脇千鶴さん=2014年2月26日、東京都新宿区(大山実撮影) 家族をテーマとした映画作りをライフワークとする呉美保監督(37)の新作「そこのみにて光輝く」。北海道函館市のうら寂しい街を舞台に、人を愛することをやめてしまったり、人から愛されることを苦手に思ってしまう屈折した男女の出会いを描いたラブストーリーだ。ヒロインを演じた池脇千鶴(32)は「社会の底辺に寄り添った温かな気持ちにしてくれる作品。女性ならば共感できる内容だと思います」と紹介した。
原作は「海炭市叙景」の佐藤泰志(1949~90年)の同名小説。過去の悲しい出来事が忘れられず、仕事もせずただブラブラと毎日を過ごす佐藤達夫(綾野剛)は、たまたまパチンコ店で知り合った大城拓児(菅田将暉)の家に出入りするようになる。廃屋のような海辺の小屋には、寝たきりの父と無気力な母、夜の商売をしている姉、大城千夏(池脇千鶴)が暮らしていた。佐藤は懸命に生きる千夏に次第に引かれていくのだが…。
家出して別の街で楽しく暮らそうと思えばできるのに、千夏は家族を捨てられない。人から愛されることは得意ではなく、素直に受け入れることもできない。「なんて不器用な人なんだろう。切なさすら感じます。千夏は自分の中で勝手に活動できるフィールドを決めてしまい、人生の幅を狭めてしまう。確かに自分に嘘をついていないですが、なぜか自分から幸せをつかみにいかないんですよね。どんな苦労もいとわずにぶつかっていく。千夏の生命力はすごい」。脚本を読み込んだ池脇は、女性ならばどこか千夏に感情移入できる部分があるに違いないとの思いを強めていった。
千夏には、なかなか関係を切れない男がいて、佐藤の元へ簡単には飛び込めない障害ともなった。「いわゆる腐れ縁ですよね。千夏が男に情を出してしまうところが、問題をより複雑にしてしまう。男の嫌な部分まで含めて理解していて、自分もどこか無意識に男に依存しているわけですから。金の切れ目が縁の切れ目とうまく割り切れないわけです。お客さんは千夏にどんな思いを抱くのかなあ」。激しいラブシーンにも体当たりで挑んだ池脇は劇場での反応が楽しみでたまらない。
池脇には5歳上の兄がいる。千夏と拓児に負けないくらいの仲良しで、池脇は子供の頃、頼りがいがある兄の後ろをいつも追っかけていたそうだ。「年齢が離れていれば、兄と妹、姉と弟の関係もまたいいものだと思います。でも、たまに私は姉妹になればよかったと、思うこともありますよ。だって、洋服の貸し借りができるし、お姉さんがおしゃれですてきな人だったらうれしいじゃないですか」。4月19日から全国順次公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:大山実/SANKEI EXPRESS)
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